今年7月5日、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)が再稼働し、関西電力は火力発電所を停止させたすると7月8日にある新聞社がそれをスクープとして掲載したタイトルは「大飯フル稼働 火力8基停止」「関電に怒り“電力不足ウソか”」というもの記事は続けて「報道を知った大阪市民からも『大飯再稼働は関電の利益が目的だったこれで電力不足は全くのうそであることが明らかになった』『詐欺かペテンかあまりに腹が立って言葉がみつからない』との憤りの声があがっています」と報じていた
筆者は疑問をもった原子力発電所の特性上、再稼働したら、いったん火力発電所を停めるのは当然ではないのか原発は一度動かし始めたら、一定の出力で運転することが望ましい一度発電を始めると、出力を上げにくく、下げにくいのだ一方、火力発電所のなかでも石油、LNG(液化天然ガス)が燃料のものは、自動車のエンジンや家庭のガスコンロと同じで、出力の調整が比較的容易であるだから、たとえば暑い日の13~16時など、電力需要のピークの時間帯に出力を上げるとすると、いったん原子力発電所が動いたなら、火力発電所はいったん停めるのが当然、ということになるはずだ
関西電力の広報部に問い合わせると、次のような答えが返ってきた
「事情はお考えのとおりです加えて、夏のピーク時に向け、火力発電所の整備・点検をする時間ができたので、まさにいま、この作業を行なっているところです」
発電施設は、膨大な数の部品すべてが正常に動かなければ運転できないたとえば、今回取材した関西電力海南火力発電所(和歌山県海南市)の2号機であれば、長期計画停止からの復旧時、検査箇所数は、配管が約2200カ所、弁が約4400台にも及んだこれほどに膨大な数の部品があるのだとすると、原発の停止以降、フル出力で稼働してきた火力発電所の検査をし、夏のピークに向け万全の体制を確立することはむしろ当然逆に、火力発電所を停止させなければ、自動車にたとえれば、信号待ちのときにアクセルを踏み続けるようなことになるそれこそ、職務怠慢であろう
ちなみに、このときに答えてくれた関西電力の広報担当者と筆者とは、過去に何の接点もなかったしかし筆者が電話をかけると、すぐに回答を寄せてくれた初めて話す人間でも、電話1本で回答が得られるのだ新聞社が火力発電所の停止に疑問を呈するなら、市民の声だけでなく、当事者である関西電力の事情も聞くのは当然ではないのだろうか
しかし、このニュースはネットで“拡散”され、掲示板には「氏ね(ママ)関電職員」「原発止めて代わりに火力動かせよクズ感電」といった誹謗、中傷といっていいコメントが寄せられた一方、まるで「電力会社憎し」と言わんばかりの報道に疑問を呈する人もいた「老朽化した施設まで持ち出して稼働し続けたのが異常なんだよ」(=いったん止めるのは当然)といったコメントも見られたのだ
◆“昭和”に戻ったような機械◆
どちらの意見が正しいのか? 筆者は今回、この「老朽化した施設」に向かってみた余裕はほんとうにあったのか、それともなかったのか――取材先は関西電力海南火力発電所と、中部電力渥美火力発電所(愛知県田原市)だ前者の「海南」は1~4号機まであり、すべて昭和40年代の運転開始後者の「渥美」は長期計画停止中の1号機が1971年、3、4号機は1971年の運転開始だ(2号機は廃止)
現地を訪れると、素直な印象は「古い機械だなぁ」というものだったたとえば中部電力の「渥美」の計器類はアナログが多く、中央制御室の赤や白に光る計器類の光源はLEDでなく電球ボイラー内の炎を確認するディスプレーは液晶でなくブラウン管すべてが“昭和”に戻ったような機械だった
関西電力の海南発電所所長・辻靖介氏によれば、そうした古い機械が、現在も「フル稼働に近い状態」なのだという
「海南は、燃料が石油ですしかも古い機械なので効率が悪く(自動車に置き換えれば燃費が悪く)、弊社のさまざまな発電所のなかでも動かす優先順位は低いところが昨年から今年の夏にかけて、ほぼフル稼働が続いているのです」
日本中の電力会社は、水力や石炭、石油など、さまざまな発電所をもっており、動かす優先順位があるまず、水力は燃料費がいらず、環境への負荷も少ないため、優先的に動かされる次に石炭火力LNGや石油に比べ燃料費は安いが、出力は変えにくいため、これは1日中、一定の出力で運転される(この運転形態は原子力と同じ)
その次がLNG火力である石炭より燃料費は高いが、石油のように燃料の調達先が中東に偏っておらず、環境への負荷が低いまた出力調整が容易なため、ピーク時に運転されるその次にようやく石油火力の出番だガス同様に出力調整は容易だが、調達先が限られ、かつ石油火力は昭和期の主力だったため、一般的に機械が古く、効率が悪いつまり、自動車でいう燃費が悪いだから、ピーク用の電源としては、LNG火力よりも優先順位は低く、いわば“電力需給を満たす最後の砦”という扱いだ記事は続けて「報道を知った大阪市民からも『大飯再稼働は関電の利益が目的だった
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